うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「初めてだったんだ。目を見て話しをされ、尚且つ意見されたのは。それからキミのことが気になるばかりだった」

「えっ……」

思わず声が漏れる。

副社長の言う『キミ』は間違いなく私のこと、だよね?

彼の意外な心内に目を見開いてしまう。

「これまでの俺は、勤務中は仕事のことしか考えられなかった。……なのに最近は仕事中にもかかわらず、キミのことを考えてばかりで……。これがキミの言う、誰かを好きになる気持ちじゃないだろうか?」

訴えるような目で言われても返答に困る。

だって私も誰かを好きになったことなんてないから。好きになるとどういう気持ちになるかなんてわからないもの。

なにも言えずにいると、副社長は続けた。

「今は父さんに言われたからでも、すべての条件に当てはまるからでもない。……キミとだから結婚したいと思っている」

「な、に言って……」

突然のプロポーズに声を失う。だって私と副社長は、同じ会社に勤めていると言っても、この前初めてまともに会話を交わしただけの関係だ。
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