うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
思いがけない話に耳を疑う。

たしかに副社長のことを恐れている人はいると思うけれど、彼の仕事ぶりに男性社員は尊敬している人も多いはず。

それなのに面白く思っていない人がいるだなんて。それも重役ばかり。

副社長は「フッ」と乾いた笑い声を漏らした。

「長年勤めてきたのに、三十二歳の若造の下で働くなんて、誰だって嫌だろう。……だから俺は会社では常に完璧でいなくてはいけない」

もしかしたら私は、副社長のことをずっと誤解していたのかもしれない。

冷たい、怖いと思っていたけれど本当の彼は違ったんだ。誰よりも真面目で責任を持ち仕事に当たっている人。

会社でも気が抜けないんでしょ? 完璧でいないといけないと自分を追い詰めているんだ。

笑ったり感情を表に出さないのは、自分の立場を熟知し、会社を考えてのことだったんだ。

だからこそある疑問が浮かび、本人にぶつけた。
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