うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
それから車を走らせること十分、やっと見慣れた景色が視界に入ると、間もなく自宅前にたどり着いた。

「ここで合っているか?」

カーナビを確認しながら尋ねてきた彼に「はい」と言いながらシートベルトを外した。

「送っていただき、ありがとうございました。社長にもよろしくお伝えください」

もう狭い空間にふたりっきりは耐えられない。お礼を言い車から降りようとしたけれど、副社長に腕を掴まれ止められた。

「どうかされましたか?」

平静を装い声を絞り出し、やんわり掴まれている腕を解こうとしたものの、更に強く掴まれる。

「あの……?」

いったいどうしたというのだろうか。

さらに心臓の動きは早さを増す。

副社長は私の腕を掴んだまま私を見つめ、切れ長の瞳を大きく揺らした。

「悪い。自分でも驚いているんだ、まさか自分がこんなこと思うとは……」

「あの?」

話が見えず首を傾げる。副社長はなにを言っているの?

それでも腕を離してもらえない現状に、恥ずかしさが増す中、彼は耳を疑うようなことを言った。
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