うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
あぁ、そうなりますよね。いきなり母親が現れて、ましてやお母さん……なにやら勘違いしているようだもの。

興奮状態のお母さんに事情を説明しようと思ったより先に、お母さんは強引に副社長の腕を引き、家の方へ引っ張っていく。

「さぁさ、狭い家ですがどうぞお上がりください」

「いえ、あの……」

お母さんの強引ぶりに副社長の威厳もなにもない。

「ちょっとお母さん!?」

副社長を家に上げるだなんて、とんでもない! なにより我が家は大家族。家の中は物で溢れているし、兄弟たちだって起きている子もいるはず。きっと副社長、びっくりしちゃうよ。

けれど私の願いは虚しく、あっという間に副社長はお母さんに家に招き入れられた。

お母さんに「日葵は着替えてきちゃいなさい」と言われ、急いで着替えを済ませて二階の自分の部屋から一階へ向かっていると、リビングからは兄弟たちの声が聞こえてきた。
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