うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
私の言うことは一度では聞いてくれないこともあるけれど、お母さんだと必ずみんな一度で言うことを聞くのよね。

それはやはり、兄弟みんなお母さんは仕事をしていて大変だと理解しているからだと思う。

みんなゾロゾロと寝室へ戻っていく中、一番下の十歳の妹は副社長の元へ駈け寄り、小指を出した。

「お兄ちゃん、また来てね。約束だよ」

妹の言動に驚く中、副社長は妹と笑顔で指切りをしてくれた。

「あぁ、わかったよ。……約束だ」

副社長……。

彼から妹に向けられたのは優しい眼差し。会社では見ない一面に茫然と眺めてしまう。

「日葵、みんなを寝かしつけてきてくれる?」

「えっ、でも……!」

それはつまり、副社長とお母さんをふたりっきりにさせるってことだよね?

ただでなくとも家に招き入れることになり、申し訳ない気持ちでいっぱいなのに。

副社長だって困っているよね? 急に家に入れられて兄弟たちに囲まれた挙句、今度は母親とふたりっきりにさせられたら。
< 68 / 330 >

この作品をシェア

pagetop