うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
寝かしつけてからだいぶ時間が経っている。それというのも副社長に会ってだいぶ興奮していたのか、すっかり目が冴えていたから。

絵本を読んであげたりしてどうにか眠ってくれてよかった。

副社長は大丈夫だろうか。

不安になりながら階段を下りていくと、次第にふたりの話し声が聞こえてきた。

「あの子、会社でどうですか? 皆さんとうまくやっているでしょうか? 昔から家族思いの良い子なんですが、そのせいで人との付き合い方がなんといいますか、不器用といいますか……」

私を心配するお母さんの話に、廊下で足が止まる。

やっぱりずっとお母さんに心配かけていたんだ。

お母さんは昔から、私が家のことばかり手伝っていて、友達とあまり遊ばないことをとても心配していた。

けれどたまには友達と遊んでいたし、みんなうちの事情を理解してくれていて、休日は家に遊びにきてくれて、兄弟たちの面倒を見てくれたりもした。

もちろん友達みんなに恵まれてきたわけじゃない。

事情を理解してもらえず、離れていった子もいる。お母さんもお父さんもそのことをずっと気に病んでいた。

まさか今も同じような心配をかけていたなんて……。
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