うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「ありがとうみんな。お腹空いたでしょ? 待っててね、すぐにご飯の用意をするから」

都内の外れにあり、築四十五年になる二階建ての一軒家が私の住む家。

私を筆頭にひとつ下で二十七歳になる弟の隼人は、就職を機にひとり暮らし中。

隼人から少し年の離れた、二十歳から九歳の八人の兄弟と両親と共に暮らしている。

共働きで帰りが遅い両親に代わって、私は昔から母親に代わり家のことをやってきた。

けれど弟や妹たちも成長し、私が就職してからはみんな分担して手伝ってくれている。

そしてこんな風に笑顔で出迎えられたら、兄弟たちのためにも、もっと仕事を頑張ろうって思えるんだ。


「容姿は申し分ないけど、家庭的かどうかは不明。……こっちは家事見習い中だけど、副社長の仕事に関して理解してくれるかどうか……」

深夜、家族が寝静まったリビングで副社長の花嫁候補を吟味していた。面倒な仕事はさっさと終わらせたい。

それに副社長が結婚してくれたら、社長が副社長の心配をして私たち秘書の気苦労が減るかもしれないし。
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