うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
慌てて降りると、社長は運転手に「少し待っていてくれ」と伝えると私の方を見た。

「井上くん、ちょっと付き合ってくれ」

「え、あっ……」

そう言うと社長はスタスタと目の前にある高級ブティックに入っていく。

社長の秘書に就いて約半年。こうして途中車を停め、寄り道することなど一度もなかったら戸惑う。

でもここ最近の社長のスケジュールはハードで、ゆっくりと買い物に行く時間が取れなかったのかもしれない。

そう思うと秘書として申し訳なく思う。

社長も自分で若いと言っているけれど、気をつけないと。今後は少し余裕を持てるよう組み直そう。

頭で考えながら社長の後を追って店内に入ると、周囲を見回す社長の姿に気づいた店員がすぐに駆け寄ってきた。

「いらっしゃいませ、桜社長。本日はどのようなものをお探しでしょうか?」

どうやら社長はここの常連客のようだ。
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