うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
この後は特に急ぎの予定はない。社長にゆっくりと買い物を楽しんで頂こう。

邪魔にならないよう隅に移動するものの、初めて来た高級ブティックについ辺りを見回してしまう。

女性服から男性服まで並ぶ店内。しかしさすが社長が通っている店だけあって、どの商品も高そう。

ご褒美にと思わないと、私には買えないような値段なんだろうな。

「どうぞこちらへ」

店員が社長を紳士服売り場に案内しようとすると、社長は耳を疑うようなことを言い出した。

「あぁ、今日は私のものを買いにきたわけではないんだ」

そう言うとなぜか私を見る社長。

「彼女に合うものを、何点か見つくろってくれないだろうか? 普段使いできるものを頼む」

「えっ?」

にっこり笑顔で言う社長に目を瞬かせてしまう。

社長ってばなにを言っているの? 私に合うものを……なんて言ったよね?

呆然とする私を見て店員は微笑んだ。
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