うぶ婚～一途な副社長からの溺愛がとまりません～
社長の口から飛び出した“家族”のワードにギョッとする。

「社長？　少々飛躍しすぎではございませんか？」

たしかに私は、副社長に結婚を前提に付き合ってほしいと言われ、了承した。

けれどまだお互い好きって感情を知らない恋愛初心者だ。これからお互いのことを好きになれるかもわからないというのに、ひとり暴走している社長に頭が痛くなる。

「飛躍などしていないよ。キミが私の娘になるのは、時間の問題なのだから」

なのに断言する社長に、私の顔は引きつる。

社長のこの自信はどこからきているのだろうか。私と副社長の気持ちの問題だというのに。

やはり社長は社長だった。いつもの社長でちょっぴり安心してしまう。

「それに愛しい息子がキミとデートをするために、仕事を切り詰め、デート雑誌を読み漁っている姿を見たら、父親として協力したくなるだろう？」

「えっ……デート……ですか？」

寝耳に水な話にポカンとなる。そんな私を見て社長は首を捻った。

「ん？　まだ廉二郎から誘われていなかったのか？　私はてっきりもう誘っているものだと……。それは廉二郎に悪いことをしたな」

顎に手をあてブツブツと呟く社長にたじろぐ。
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