うぶ婚～一途な副社長からの溺愛がとまりません～

社長の言うことが本当なら、ここ最近、副社長が忙しくしていたのは私とデートするため？　それになに？　あの副社長が私とのデートのために雑誌を読み漁っていたなんて……。

社長の言う副社長の姿を想像すると、胸がキュンと鳴る。

顔がにやけそうになり、キュッと口を結んだ。

「井上くん、廉二郎からデートに誘われても初めて聞いたフリをしてくれ。私から漏らしたとなったら、廉二郎に怒られる……！」

情けない声を出して懇願する社長。

「は、はい……」

返事をすると安堵する社長を見て、本当に社長は副社長のことが好きでたまらないんだと実感する。

普段、社員の前ではキリッとしていて、誰もが憧れる社長なのに、こうしてちょっぴり情けない一面を見せられると、幻滅するどころかますます社長に親しみやすさを感じる。

完璧な人間などいない。社長だって普通の親と同じなんだって。

「ありがとう。そういうわけで、私からのささやかなプレゼントを受け取ってくれたまえ。廉二郎に誘われたら着ていくといい」