うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
うんうんと頷きながら話す社長に、ようやく彼の意図が理解できた。

そうか、だから社長は急に私に服をプレゼントするなんて言い出したんだ。

社長の気持ちは嬉しいけれど、ここは丁重にお断りさせていただこう。

「社長のご厚意は大変ありがたいのですが、副社長にお誘いを受けたとしても、着ていく服はございますので大丈夫です」

なによりこんな高いお店で買ってもらうわけにはいかない。

そんな思いで断ったものの、社長は引き下がらなかった。

「そうかもしれないが、ふたりにとって初デートだ。キミだって廉二郎をドキドキさせたいだろ?」

「ドキドキって……なにをおっしゃっているのですか」

まるで女子のような発言に呆れてしまう。

「とにかくお洋服はけっこうです」

きっぱり断ると、ちょうどタイミングよく私に合う服を探しに行っていた店員が戻ってきた。

「あの……」

どうやら先ほどの私と社長のやり取りを聞いていたようで、気まずそうに私たちの様子を窺ってきた。
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