僕はキミの心臓になりたい
ドキドキしながら羽賀くんからの言葉を待っていた。
すると、
「なんか……愛の告白受けたようで照れるなぁ〜」
と言い、頭をカリカリとかいた。
「いやっ別に変な意味じゃなくて!」
「うん、わかってる。だけど純粋に嬉しいからさ。ありがとな、美羽」
穏やかで、とても寂しそうに笑う
羽賀くんに対して私は何も言えなくなってしまった。
羽賀くんは、たまに今のような寂しそうな表情をする。
彼には似合わない、消えそうな儚い笑顔……
まるで、どこか遠くへ行ってしまうような予感をさせる。
「じゃあ今日はどこ行こうか?」
羽賀くんの発声を聞いて
彼に視線を戻すといつもの彼に戻っていたので安心する。
「今日は羽賀くんの行きたいところ行こうよ」
「え、俺の?」
うーん……と羽賀くんが真剣に考えた後
パッと思いついたようで
羽賀くんに言われるがまま
私たちは列車に乗って向かい出した。
1時間程列車を乗り継ぎ着いた場所は、
「やっと着いたー鎌倉駅!」
列車から1番乗りで降りた羽賀くんが言った。
ホームに降り立つと
そこは都会のようなねっとりした
暑さはなく、涼しさも感じられた。
「美羽は鎌倉来たことある?」
「ううん。初めて」
「俺も来たことなくて、一度来てみたかったんだ」