僕はキミの心臓になりたい
かんざしのお店を出て歩いていくと
羽賀くんが古そうな商店を指差した。
「おっすごい!レトロっぽい」
そこは昔ながらの雑貨や
おもちゃが売られているお店で
看板にひらがなでお店の名前が
書いてあるのが昭和を感じだ。
「こーゆう古そうな商店好きなんだよな」
目を輝かせて言う羽賀くんに
私は共感するものがあった。
懐かしい商店や物を見ると
昭和時代にタイムスリップしたような
気がしてテンション上がる。
「なんかわかるかも」
「この見るとホッとするようなのんびりした感じが俺は好き」
羽賀くんは、他にもレトロな雰囲気なものがないかと
次々に目を動かしていった。
進んでいくと、あるお店の前の行列を見つけた。
そこは串刺しのお団子屋さんで
若い人に人気らしく
10代から20代の女の子やカップルがもっぱら並んでいた。
お店の前から覗いてみると
ショーケースにたくさんの
お団子が並べられ
壁に貼ってある写真のメニュー表を
見てもたくさんの味があることがわかる。
行列ができてるだけに、ここのお団子が気になった。
「あ!この店、さっき調べた鎌倉のおすすめスポットにも載ってたなぁ」
横から羽賀くんもお店の中を覗き始めた。
それを見て、彼もお団子屋さんが気になりだしたと察した。
「私、ここのお団子食べてみたい!いい?」
「俺も〜!」
という訳で、私たちは行列の最後尾に並んだ。