僕はキミの心臓になりたい
それからしばらくは、小町通りをただぶらぶらしていた。
店頭に並んでいた色とりどりの
手作りがま口財布を手にとって見たり
わらび餅専門のお店で店主のおじさんが
わらび餅を作ってるところを見たり
いろんな味のある豆菓子の試食をしてみたりと
満喫した時間を過ごしていた。
小町通りを行き尽くしたところで
私たちは次の目的地の神社へ行くため
鎌倉駅から江ノ電に乗った。
5分で目的の駅に着き
ホームに降り立つと
じっとりとした暑さが肌に吸い付いてきた。
太陽の熱のせいで、立っているだけで
体力を奪われるというのに彼は
「天気いーなぁ〜!太陽まぶしー」
軽い足取りで、どんどん前へと進んでいく。
普段、あまり動かない体を
引きづりながら彼についていくのがやっとだった。
「美羽ーおいで!」
少し先に、羽賀くんが
太陽とはりはってるような笑顔で
私が追いつくのを待っていた。
彼の向こう側にあるのは真っ青な青空で
その光景が美しくて思わず息を飲んだ。
なんか、悔しい。
彼のその眩しい笑顔と
綺麗な青空のせいで疲れなんか
簡単に飛んでいっちゃうよ。
また羽賀くんにやられちゃったじゃないか……
やっとこさ羽賀くんの隣まで追いつくと、
「大丈夫?辛いか?」
「ううん。平気」
「そか!辛くなったらちゃんと言えよ」
羽賀くんは私の体調を気遣ってくれ
神社までの坂道を歩幅を揃えて歩いてくれた。