僕はキミの心臓になりたい



坂道を登り終えた頃には

暑さと疲労で10歳くらい老け込んだ気がした。


ジリジリと日差しが照りつける参道を歩き

神様の御前に着いた。


2人並んで箱にお賽銭を入れ、手を合わせた。


神様の参拝は、自分の願いを

聞いてもらうためのものではなく

神様に報告や祈願するものだと何かで読んだことある。



けれど、今現在では

神様に報告や祈願することが

思いつかなかったので

いつものように自分の病気が良くなることを御願いした。



祈りを終えて横を見ると

目を閉じた羽賀くんが熱心に手を合わせていた。


何を真剣に祈っているのか気になったが

祈りは人に話したり聞いたりするものではない。


私は彼の祈りが終わるまで

御前を眺めながら隣に立っていた。




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