僕はキミの心臓になりたい
「美羽って瑞稀と仲良いから
応援してくれるかなって思ってたんだ。
それでね、近々瑞稀に告白してみようと思うの。
美羽、協力してくれる?」
そんなの、協力できないよ……
だって、うまくいけば羽賀くんと
夏美ちゃんは恋人同士になるんでしょ?
そんな2人の姿を想像するだけで
心がえぐられるように痛い。
夏美ちゃん可愛いし
羽賀くんと普段から仲良いから
羽賀くんの方も友達以上と思ってるかもしれないのに。
断らなきゃ。
私も羽賀くんが好きだからってちゃんと言わなきゃ。
私はテーブルの下で震える手をぎゅっと握りしめた。
「いいよ……」
断るつもりだったのに
何故か口から出た言葉は真反対の返事だった。
「ありがとう美羽!やっぱ話してよかった〜
こんな事美羽にしか話せないもん」
夏美ちゃんのこの笑顔を無くしたくなかったから。
友達って言ってくれた夏美ちゃんのことを
裏切りたくないから。
だから反対のことを言ってしまった。
心に押し寄せる暗雲の影……
それを振り払うことはできない。
その後から、夏美ちゃんの話が何も耳に入ってこなくなった。
羽賀くんの話を楽しそうに話す夏美ちゃんに
私はうなづいているだけで精一杯だった。