僕はキミの心臓になりたい
頬杖をつきながら、窓の外をぼうっと眺めていたら
パコンッ
何かで頭を軽く叩かれた。
「美羽〜元気か?」
顔を上げると、あの彼がノートを筒状に
丸めたのを持って立っていた。
羽賀くんっ……
「なんか今日朝からぼうっとしてね?」
「そんなことないよ。元気」
彼に悟られないように、作り笑顔で答えた。
「ふーん。でさ、今日の放課後空いてる?」
「えっ」
「駅前に新しくできたワッフル屋があるんだけど、
そこのデラックスワッフル食いに行こうぜ!
あれ食べたら元気出るぞ」
そんなことをデカイ声で言うもんだから
クラスメイトがまた聞き耳を立てる。
それは、夏美ちゃんも聞いていた。
不安げな表情で私たちを見つめているので
私は慌てて目をそらした。
私だって羽賀くんといたいよ。
けど今日は……
「今日は検査の日だから無理。ごめん」
今ここで、夏美ちゃんを裏切ることが怖かった。