僕はキミの心臓になりたい
そして、ロビーの中を通り過ぎようとした時だった。
「相楽……?」
急に背後で名前を呼ばれたことで、驚きを隠せなかった。
こんなところで、両親や看護師以外の人が
私を呼ぶなんてありえないのに。
「やっぱり、相楽だよな?」
歩み寄ってきたのは
うちの高校の制服を着たクラスメイトだった。
入学式の日、遅刻して教室に入って来た人だったので
強烈な印象がついていたので覚えていた。
でも、どうしてもこの人の名前が出てこない。
何君だっけ……?
「俺の事知ってる?同じクラスの羽賀瑞稀」
「うっうん…知ってる」
名前聞いてもぴんとこなかったが
彼に話を合わせることにした。
羽賀瑞稀……ハガミズキくんね。
頭の中で繰り返して、彼の名前を覚えた。
入学してから学校に行けてないのに
よく私の名前わかったな……