僕はキミの心臓になりたい



「体冷やすといけねーから寝てろよ。俺、ちょっと家に電話かけてくる」


羽賀くんは私に布団をかけ直して、病室を出ていった。


寝ようと布団の中で目をつぶっていた時だった。


「何でお前がこれを持ってんのかって聞いてんだよ!」


病室の外から、誰かの怒鳴り声が聞こえてきた。


何だろう……でも、聞いたことある声のような。



すると、勢いよく病室のドアが開いた。


入ってきたのは、物凄い剣幕のタカさんと

タカさんに引っ張られるようにして来たのは夏美ちゃんだった。



どうして、夏美ちゃんがここに?



状況が掴めず、茫然と二人の姿を見つめていると

タカさんが夏美ちゃんの肩を掴んで言った。



「相楽、こいつがやった。こいつが相楽の薬盗みやがったんだよ」



夏美ちゃんが私の薬を盗んだ……?


どういうこと?



「さっき俺が廊下にいたらこいつが来て

薬を返しに来たって言って持ってきたんだよ」



そう言ってタカさんが見せたのは、私の携帯用の薬だ。


夏美ちゃんは下を向いたままで否定しない。



嘘でしょ……?


まさか夏美ちゃんが盗んでいたなんて信じたくないよ。



「お前のせいで相楽に何かあったらどうしてくれてたんだよ!

命に関わることだったんだぞ!」



タカさんが夏美ちゃんに詰め寄ると

夏美ちゃんは肩を震わせて顔を上げた。



「ごめんなさい……

でも、本当にちょっと脅かすだけのつもりだったの。

すぐ返すつもりだったのに

まさか発作が起きると思ってなくて……」



「謝る相手は俺じゃねーだろ!相楽にちゃんと頭下げて謝れ」



タカさんは夏美ちゃんの背中を私の方へ押し、

二人にさせるために病室を出ていった。



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