僕はキミの心臓になりたい



「1つだけ聞きたい。どうして薬盗むようなことしたの?」


聞くのは怖かったけど

私は夏美ちゃんの気持ちが知りたかった。



「……美羽の事が、死ぬ程羨ましかったから」


私が羨ましい……?



「私は美羽よりも早く瑞稀と仲良くなったのに、

美羽に取られちゃうんじゃないかって

嫉妬してたの。

だから悔しくて……あんな事してた」



夏美ちゃんは、羽賀くんに恋してた。


恋をして幸せを掴むはずだったのに

いつの間にか、人を傷つける行為に走っていた。


恋って掴めないものだね。


時には人を幸せにし

時には人を狂わす元凶にもなる。


夏美ちゃんは、早く羽賀くんを自分のものにしたかったんだ。



「それ程、夏美ちゃんは羽賀くんの事好きだったんだね」


「私、高校に入ってからクラスの女子から

男子の前で猫かぶってるって言われて

女子達からハブられてたの。

みんな私に冷たかったけど、瑞稀だけは違った。

私にたくさん笑わせに来てくれたり

悪口言われて落ち込んでたら

相談にものってくれたの。

だから私もどんどん瑞稀が好きになった。

あんな優しい人に出会ったの初めてだったから」



私は夏美ちゃんの話に動揺しながらも、口を挟まず聞いた。



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