僕はキミの心臓になりたい



誰かが傷ついてること知らないで

今の日常に甘えていたんだ。



「夏美ちゃん、ごめんね。今日はもう帰って」



夏美ちゃんは、驚いたように私を見た。



「私は夏美ちゃんを責めたりしない。

夏美ちゃんの話を聞かなかったら

自分のせいで誰かが傷ついてることを

知らないままだった。

……けど、今日はどうしても夏美ちゃんを

見るのが辛いの。

もう夜も遅いし、帰ってほしい」



「わかった……」



放心状態のまま、夏美ちゃんが

病室を出て行くのを見送り

1人になった病室で、布団をかぶって

夏美ちゃんの話を思い返した。



最初は憎かった夏美ちゃんが

話を聞いているうちに少しだけ感心していた。



クラスメイトからハブられても 

自分の恋のために一生懸命尽くせられる

なんて、なんて強い人なんだろう。



夏美ちゃんは本当にすごいよ……



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