僕はキミの心臓になりたい



それに比べて、私は心も体も弱い。


今の日常にすっかり甘えてしまっていた。


羽賀くんのそばにいると

辛い病気のことなんか考えなくなるから忘れかけていたけど

私はきっとこの先永くはない。



前から発作の回数が増えていたのが気になっていた。



吉沢先生にも、私の心臓は成長するにつれ

機能しなくなると言われていた。



今日だって、早めに処置ができたから助かったものの

あと少し遅ければ私は今ここにいなかったかもしれない。



私はいつかいなくなる人間。

 
そんな私が羽賀くんの日常を奪ってはいけないね。


羽賀くんは優しい人だから

私が何言ってもそばにいるよって

言ってくれるかもしれない。



だけど、羽賀くんはこれからたくさん幸せにならなきゃダメだよ。



これから素敵な出会いをして

楽しいことをいっぱいして

恋をしていく羽賀くんの未来のために

彼を解放されてあげなきゃ…



私は決心した。


羽賀くんとこうして2人で会うのは

今日で最後にすることを。



ごめんなさい羽賀くん……


どうか誰よりも幸せになって。






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