僕はキミの心臓になりたい
「何で?」
戸惑っている羽賀くんと目を合わせずに
重い口を開いて言った。
「私と一緒にいて疲れない?
こうやって目の前で発作が起きてたくさん心配かけるし。
それに……」
「それに、何だよ?」
「私、もうすぐ死ぬんだよ」
その瞬間、病室の空気が凍りついた。
今まで冗談でも言わなかった言葉が口をついて出た。
本当は死のことなんて考えたくないよ……
死にたくない。
だけど、その運命は間違いなく迫ってきているから。
「……医者からそう言われたの?」
「そうじゃない。けど……」
布団のシーツを握りしめ、意を決した。
「私の心臓はもう大人になるにつれて弱っていく一方なの。
いずれ死ぬ時がくるんだよ?
そんな私といるより、ほかのことに
時間使ったほうがいいよ。
羽賀くんだってほかにやりたいこととか
遊びたい人いるでしょ?その方がいいよ」
冷たい言い方してしまうのは
私が羽賀くんと離れる決意をするため。
もう、私の事嫌いになって……
傷ついて、それから憎んでください。
どれくらいの時間が過ぎたんだろう。
羽賀くんがはあっと息を吐いた。
「何だよ、それ。美羽って始めっから生きること諦めてたんだ」