僕はキミの心臓になりたい
季節は、もうすっかり秋になりだした10月。
通学路にある街路樹が、赤色黄色と綺麗な色を放っていた。
私は、相変わらず学校に行っていた。
羽賀くんはというと、体調が回復しないためまだ退院することができないらしい。
秋っていうと、学校行事がたくさんあるのにな。
その頃には、羽賀くんも元気になっていればいいけど……
そんなある日。
いつものように、クラスメイトの子たちと
昼休みに教室でお弁当を食べていた時だった。
「そういえば美羽。夏美のこと聞いた?」
「夏美ちゃんがどうかしたの?」
「九州に転校するんだって」
「えっ?」
お弁当を食べる手が止まった。
夏美ちゃんが転校……?
「いつ転校しちゃうの?」
「来週引っ越すんだって。急だったし、びっくりだよね」
夏美ちゃん、いなくなっちゃうんだ……
あれだけ酷い事されたはずなのに、何故か喪失感のようなものが襲ってきた。
勢いよく席から立ち上がり、走りだしていた。
「美羽どこに行くの!?」
「夏美ちゃんのところに行ってくる!」
思いのままに体を動かし、夏美ちゃんの姿を探した。