僕はキミの心臓になりたい




「私、美羽ちゃんが瑞稀のこと

好きなの知ってて応援してくれるようにせがんでたの。

そうすれば、美羽ちゃんが瑞稀のこと

諦めてくれると思って。

自分さえよければ誰が傷つこうと構わなかったし、

あの時の私は本当どうかしてた」



夏美ちゃんの方に顔を向けると、夏美ちゃんは私をまっすぐ見ていた。



その目には、溢れそうなほどに涙がたまっていた。




「あの時美羽ちゃんを傷つけたことは一生忘れない……


本当にごめんなさい……」



泣き出してしまった夏美ちゃんの背中をそっとさすった。


夏美ちゃんのことを憎んだ時もあったけど

今は不思議とそんな気持ちはなかった。



「もう謝らないで。私、夏美ちゃんのこと恨んでないから」



夏美ちゃんは涙を拭いながら私を見た。



「本当の事言うと、ちょっと楽しかったよ。

初めて女友達ができて、

一緒に笑いあったり恋の話をしたり

ライバルができたりしてさ。

私そういう事初めてだったから

夏美ちゃんといれて楽しかったよ」



「美羽ちゃん……」



「だから夏美ちゃんが九州に行っても

連絡したくなったらしてもいいかな?

私はこれからも夏美ちゃんと友達でいたいから」



そう言うと、夏美ちゃんは何度もうなづいた。



「私も……これからも美羽ちゃんの友達でいたい」



2人で抱き合い、たくさん泣いた。


今までため込んでた分、全てさらけ出すように。


離れてもずっとずっと友達でいようね……


そう2人で誓い合った。



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