僕はキミの心臓になりたい
夏美ちゃんが九州に転校してから数日が経った。
羽賀くんは今も入院しているようだ。
2週間って言ってたのに、随分と長いなぁ……
タカさんにも羽賀くんの状況を聞いてみた。
「なんか体調が回復しないから入院が長引いたっぽい」
「大丈夫なのかな?」
「心配ねーって!ほら胃腸炎って感染するし、
完全にウイルスが無くなるまでじゃないと
退院できないんだよ、きっと」
それならいいんだけど……
あんなにいつも元気な彼が病気するなんて
想像つかなかったから、余計に心配になる。
お見舞いに行きたくても、羽賀くんが
「うつるから来るな」と言って
来させないようにしてるらしい。
こんなに何日も入院してたら、やっぱり心配だよ。
スマホを取り出して、連絡先の一覧から羽賀くんを探す。
電話をかけようとする手が、なかなか動いてくれない。
通話ボタンに置いた指が震える。
やっぱりできないよ……
自分から突き放したくせに、今さら羽賀くんに連絡なんてできるわけない。
それに、私の声なんて聞きたくないに決まってる……
私は、早く羽賀くんが退院できるように祈ることしかできなかった。