僕はキミの心臓になりたい



夏美ちゃんが九州に転校してから数日が経った。


羽賀くんは今も入院しているようだ。


2週間って言ってたのに、随分と長いなぁ……


タカさんにも羽賀くんの状況を聞いてみた。



「なんか体調が回復しないから入院が長引いたっぽい」



「大丈夫なのかな?」



「心配ねーって!ほら胃腸炎って感染するし、

完全にウイルスが無くなるまでじゃないと

退院できないんだよ、きっと」



それならいいんだけど……



あんなにいつも元気な彼が病気するなんて

想像つかなかったから、余計に心配になる。



お見舞いに行きたくても、羽賀くんが

「うつるから来るな」と言って

来させないようにしてるらしい。



こんなに何日も入院してたら、やっぱり心配だよ。


スマホを取り出して、連絡先の一覧から羽賀くんを探す。


電話をかけようとする手が、なかなか動いてくれない。


通話ボタンに置いた指が震える。



やっぱりできないよ……


自分から突き放したくせに、今さら羽賀くんに連絡なんてできるわけない。


それに、私の声なんて聞きたくないに決まってる……



私は、早く羽賀くんが退院できるように祈ることしかできなかった。




< 148 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop