僕はキミの心臓になりたい
「羽賀くんは北海道初めて?」
ガイドブックを眺めている羽賀くんに聞いたが、何故か返事がない。
見ると、彼はムスッとしていた。
「どうしたの?」
「美羽ってさぁ、何で俺の事羽賀くんって呼んでるの?」
「えっ」
急にそんな事聞かれても……
答えに迷った。
「堅苦しいし、俺との間に一線あるような感じじゃん。
いい加減瑞稀って呼んでよ」
みっ瑞稀……!?
男子のこと名前で呼んだことないし、恥ずかし過ぎるよ!
名前で呼べる人なんて、その人の彼女限定だと思ってたし。
「はっ恥ずかしいよ、そんなの」
「友達なのに?」
「言えるようになってから、そう呼ぶよ……」
「ふーん……わかった」
羽賀くんは再びガイドブックに目線を戻した。
って、いつか羽賀くんのこと名前で呼べる日がくるのかな。