僕はキミの心臓になりたい



知らなかった。


お父さん、亡くなってたんだ……



「俺の親父は美羽と同じ心臓病だった」



初めて知った事実に言葉を失った。



「いくら治療しても入院しても

親父の心臓は良くならなくて

もう残された道は心臓移植しかなかった」



心臓移植……


私には慣れ親しんだ言葉。



実は私も、臓器移植ネットワークに移植希望登録していて適合するドナーが見つかるのを待っている。



でも、そう簡単には見つからない。



長年待ち続けても見つからずに

そのまま亡くなってしまう人もたくさんいる。



「親父はドナーを3年待ち続けたけど、結局助からなかった。

情けなかったよ……

目の前で親父が苦しんでる姿を何度も見ていたのに、

亡くなるまでの3年間俺は

何もしてやれなかったから。

3年もあったのに……」



羽賀くんの声は、最後の方で消えそうになった。




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