僕はキミの心臓になりたい
「病人を連れて旅行行くなんて、一体何考えてるのよ!!」
殴られた左頬を押さえて唖然とする。
「瑞稀の体は……病院を出ていける状態じゃなかったのよ。それなのに何で……」
瑞稀のお母さんは顔を覆い、泣き出してしまった。
一体何が起こっているのか……
病室の壁には大きな窓があって
中の様子が見られるようになっていた。
恐る恐る中を見ると、信じられない光景が広がっていた。
ベッドに横たわる瑞稀。
その体にはたくさんの管が繋がれ
横には心電図が置かれ、瑞稀の呼吸が一定音で聞こえた。
「瑞稀……?」
ガラス越しに呼びかけるも、その目は開かなかった。
「瑞稀、ねえ起きてよ……」
瑞稀のそばに行きたくて病室に入ろうとするも、看護婦に阻まれてしまう。
「今、中は危ないから入らないで」
「でも……でも瑞稀が……
ねぇ、瑞稀はいつ目覚ますの?
助かるんだよね⁇」
看護婦に詰め寄るも、困惑した表情のまま何も言わない。