僕はキミの心臓になりたい
すると、瑞稀のお母さんが隣に来た。
「やっぱり、美羽ちゃんには秘密にしてたのね……」
お母さんの言葉に不思議に思い、私はお母さんの方を見た。
「あの子ずっと病気だったの」
病気……?
嘘……そんなの知らない……
「血液の病気でね、高校に入る前から
ずっと重い病気と闘ってきた。
でも助かる見込みもなくて
もう長くないと言われてたの……」
頭が真っ白になり、時間が止まってしまったかのように静かになった。
ドクドクと、自分の心臓の音しか聞こえない。
「お医者さんの話では、もうあのまま目を覚まさないかもしれないって……」
やめて……
「いやだよそんなの!いやだっ……」
私は思わず耳を塞いだ。
「瑞稀っお願い、目を開けて!起きてよ瑞稀……瑞稀っ……」
我を失ったように、ガラスの向こう側に向かって叫んでも瑞稀には届かない。