僕はキミの心臓になりたい
思った通り、検査の後退院の予定が決まった。
「よかったね、美羽ちゃん。退院が決まったよ」
昔から担当医の吉沢先生が
ニコニコしながらそう告げた。
吉沢医師とは私が、幼い頃からずっと診てくれている男性の主治医だ。
いつもその甘いマスクに癒されているけど、
今の私には一生懸命に作り笑いしかできなかった。
決して退院が嫌な訳ではないのだけれど
これからの生活に不安が生まれていた。
退院が決まったことを羽賀くんに連絡すると
翌日彼は飛んで来たかのように
病室に来た。
「来週退院決まったんだって!?よかったな!」
「うん……」
嬉しそうな羽賀くんとは対照的に
気分が乗らない私に羽賀くんは気づいた。
「どうした?嬉しくねーの⁇」
「そうじゃないけど……」
「ん?」
ベッドの横にあるパイプ椅子に座り
まじまじと私を見つめる彼に
私は心中にためてあったものをさらけ出した。