僕はキミの心臓になりたい



思った通り、検査の後退院の予定が決まった。



「よかったね、美羽ちゃん。退院が決まったよ」



昔から担当医の吉沢先生が

ニコニコしながらそう告げた。



吉沢医師とは私が、幼い頃からずっと診てくれている男性の主治医だ。



いつもその甘いマスクに癒されているけど、


今の私には一生懸命に作り笑いしかできなかった。



決して退院が嫌な訳ではないのだけれど

これからの生活に不安が生まれていた。



退院が決まったことを羽賀くんに連絡すると

翌日彼は飛んで来たかのように

病室に来た。



「来週退院決まったんだって!?よかったな!」


「うん……」



嬉しそうな羽賀くんとは対照的に

気分が乗らない私に羽賀くんは気づいた。



「どうした?嬉しくねーの⁇」


「そうじゃないけど……」


「ん?」



ベッドの横にあるパイプ椅子に座り

まじまじと私を見つめる彼に

私は心中にためてあったものをさらけ出した。




< 18 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop