僕はキミの心臓になりたい
瑞稀のお母さんはどこかやつれていて
疲れ切っていた表情をしていた。
けど、目はしっかりと私の方を見ていた。
「美羽ちゃん、そんなこと言ったらダメ。そんなこと言ったら瑞稀が悲しむでしょ?」
私は瑞稀のお母さんが見れず、俯いたままでいた。
「あなたに一番生きてほしいと思っているのは瑞稀なのよ?」
すると、瑞稀のお母さんは私に何かを差し出した。
それは、小さいカードのようなもの。
私はこのカードを知っていた。
震える手でそれを受け取る。
「何だかわかる?」
「ドナーカード……」
「これ、瑞稀のよ」
思わず、瑞稀のお母さんを見上げた。
「お父さんが心臓病で亡くなったのをきっかけにドナーに登録したの。同じ心臓の病気の人のために何か役に立ちたかったのね」
瑞稀の言葉が脳裏に蘇る。
ー「親父はドナーを3年間待ち続けたけど、結局助からなかった。
情けなかったよ……
目の前で親父が苦しんでる姿を何度も見ていたのに、
亡くなるまでの3年間俺は
何もしてやれなかったから。」ー
「ずっと言ってたの。自分の身にもし何かあったら、美羽ちゃんに心臓を移植したいって」