僕はキミの心臓になりたい
迎えた手術の日ー
手術室に向かうため、私はストレッチャーに乗せられ看護婦さんに運ばれていた。
手術にはお父さんお母さんと、瑞稀のお母さんも付き添ってくれていた。
私は長時間の戦いに覚悟を決めた。
不思議と怖いという気持ちはなかった。
お母さんが吉沢先生に深々と頭を下げる。
「それじゃあ先生、よろしくお願いします」
「全力を尽くします。恐らく、手術時間は5時間以上要するかと思われますが……」
「ここで待たせてください」
お母さんの言葉に、吉沢先生も頭を下げた。
「美羽ちゃん」
瑞稀のお母さんが手を握ってくれた。
「長い戦いになるけど頑張るのよ。あなたは誰よりも強い。必ずこの手術にも打ち勝てるから」
「はい」
瑞稀のお母さんの想いがひしひしと伝わり、私に勇気をくれた。
大丈夫。
絶対勝つ。
必ず生きて、この手術室から出てくるんだ。
ゆっくりとストレッチャーが手術室に入っていった。
「美羽、頑張って!みんな待ってるからね!」
最後にお母さんの声が聞こえたところで、手術室の扉は閉ざされた。