僕はキミの心臓になりたい
狭い診察室のドアを慣れた手つきで開ける。
「よ!先生」
「おう。まあそこに座って」
担当医の桜田医師とは、すっかり顔なじみになった。
30代の若い男性医師ということもあり
桜田医師とは話が合い
治療してもらってるだけではなく良き話し相手にもなっていた。
「あれ、お母さんは?」
「もうすぐ来るよ。
てか、何でおふくろも呼んだの?
いつも検査の話は俺だけでもよかったじゃん」
桜田医師は、戸惑いを隠しきれてないような表情を浮かべて
手元の用紙にペンを進めていた。
その様子に、なんとなく嫌な予感がした。
すると、背後の引き戸が開いておふくろが入ってきた。
「すみません、遅れてしまって」
「いや、いいんですよ。とりあえず座って下さい」
おふくろがハアハアと息切れしながら
俺の隣のパイプ椅子に腰をかけた。