僕はキミの心臓になりたい
中学2年の夏。
新学期を迎えた生徒たちが
楽しそうにおしゃべりしながら校門をくぐっていく。
瑞稀は今日から転校することになった
この区立中学の前に立っていた。
生徒たちが不思議そうに瑞稀を見ていくので、ずっと下を向いていた。
以前通っていた田舎の学校とは、倍も違う人の多さに圧倒された。
こんなとこでうまくやっていけるのだろうか……
東京に引っ越してきてから、2週間が経つ。
東京に引っ越してくるまでの1カ月は、ものすごく慌ただしいものだった。
1カ月前。
親父がずっと患っていた心臓病で亡くなった。
親父は病気でも、そんな素振りを見せないほど明るく振る舞っていた。
自分の心臓と適合するドナーが見つかれば助かるんだと話していたから
俺はてっきり親父の病気は治ると信じていた。