僕はキミの心臓になりたい




それなのに、親父は急変してあっという間に死んだ。


悔しかった。


親父が目の前で苦しんでる姿を、何度も見てきたのに何もできなかった。



それから俺は無気力になった。


親父の告別式も記憶のないまま終わり

おふくろの親戚のいる東京に引っ越してきた。


新しい家とか、転校先とかどうでもよかった。


自分の見た目も気にしなくなり、髪が伸びていることも忘れていた。


視力が悪くてメガネをかけているので、モッサリしたオタク男のようだ。



おふくろもずっと親父を引きづっている。


毎日親父の仏壇の前に座り、遺影を眺めながら泣いていた。


やつれた姿に胸が痛くなった。


このままではダメだと思っていても

立ち直る術を知らなかった。






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