僕はキミの心臓になりたい
俺は彼女の後ろをついていった。
歩くたびに彼女の綺麗な髪が揺れた。
初めて声をかけられたことに安堵し
張り詰めていた緊張が少しだけ和らいだ。
しばらく歩くと、2年3組と書かれたプレートがある教室の前まで来た。
「3組はここだよ」
「ありがとう。助かった」
彼女と同じクラスだったらいいと思ったが、どうやら違うみたいだ。
「名前は何ていうの?」
「……羽賀瑞稀」
「私は2組の相楽美羽。わからないことがあったら何でも聞いてね」
一瞬、彼女の笑顔が見れた。
俺がペコリと頭を下げると、彼女は俺の横を通り過ぎて行った。
彼女から漂う香りが一瞬ふわっとした瞬間
自分の中のスイッチが押された。
14年生きてれば、この感覚が何かすぐにわかる。
そう、俺は……
完全に彼女に一目惚れしてしまっていた。