僕はキミの心臓になりたい




ずっと黙ったままの俺に、看護師は優しく言った。



「でもね、病気だからといって

すぐにどうにかなってしまうって訳ではないの。

日常生活でいろいろ制限されてることもあるけど、

普通の生活はできるから彼女の支えになってあげてね」



看護師はそう言って、仕事に戻っていった。


それでもまだ俺の体は動かないままだ。



嘘だ……


嘘だろ?




心臓病なんて、嘘だと言ってくれ……



今にも足から崩れそうになっていた。



それから俺は放心状態のまま家に帰り

夜になっても一睡もできなかった。








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