僕はキミの心臓になりたい
「うわあ〜綺麗な眺め!」
丘の上からは都内が一望でき、町並みがキラキラ輝いている。
今日は清々しい晴れ日和なので、遠くには富士山も見えた。
私はここまで登ってきた疲れを吹き飛ばすように、
その場で思いっきり息を吸った。
「もう一踏ん張りだね」
隣で同じように深呼吸していた白河陵に言うと、彼は先の階段を登り始めた。
「よし、行くぞ!」
彼の背中を追いかけるように私も階段を登った。
ーあの手術からもうすぐ10年。
私は26才になった。
成功率が低い手術に勝ち、私はここまで生き延びることができたのだ。
現在、私は看護師として働いている。