僕はキミの心臓になりたい
まるで現実感のない状況が掴めないまま
私は階段を降りていき、玄関に向かった。
靴を履いていると、お母さんが嬉しそうに言った。
「もう友達ができたのね、よかったじゃない。ちょっと安心した」
「え、どして?」
「なかなか学校に行けないから
もしかしたら美羽が学校で孤立してるんじゃないかって心配してたの。
でも、今の学校では大丈夫そうね。
あんな優しい男の子がいるんだから」
そっか、お母さんには見抜かれていたんだ。
私が今まで友達がいなかったこと。
そうだよね……
だって、こうしてクラスメイトが
家に訪ねてくるのって、今日が初めてだもん。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
笑顔のお母さんに見送られて玄関を開けると
門の外に羽賀くんが手を振って立っていた。
「はよ!美羽」
「本当に迎えに来てくれたんだ……」
「当たり前だろ!俺は約束破らねーから」