僕はキミの心臓になりたい
学校に近づくにつれ、歩いている
同じ制服を着た生徒が見えだした。
その人たちの横を通り過ぎるたび
私は髪で顔を隠すように、俯いていた。
こんなところ、誰かに見られたら絶対勘違いされるよ。
自転車は学校の門をくぐり、駐輪場に停められた。
「行こう、美羽」
「あ…うん」
私の心配をよそに、羽賀くんはどんどん前を歩いていく。
下駄箱で上履きに履き替えていると背後から、
「瑞稀、はよーっす!」
と、でっかい声が聞こえたかと思えば
その声の主の腕が羽賀くんの首に巻きついた。
「朝からテンション高けーな、タカ」
「テンション高いところだけが俺のいいところだからよ!」
「いいところかよ、それ」
2人のやり取りについてこれない私の姿に
タカと呼ばれた人が気づいた。