僕はキミの心臓になりたい
そして、桜田医師が俺たちに向き直った。
「今回の検査結果ですが、残念ながらあまりよくありませんでした」
「よくないって……どういうことですか?」
おふくろの声がわかりやすく震えていた。
桜田医師が俺たちに
血液検査のデータを見せた。
「このデータを見てみても
瑞稀君の白血球の数がものすごいスピードで減っています。
今回の入院中に、毎日投与した薬も
あまり効果は出ませんでした。
我々も最善の手を尽くしてきましたが
今の医療技術ではこれが限界です」
俺にはこんな数字や折れ線グラフを見せられても
正直なんのこっちゃだった。
けど、今の話だと
桜田医師もいろんな方法で俺の病気を治そうとしてきたけど
もう手に負えないとこまできてしまった…
そういうことなんだと理解できた。
「そんな……」
おふくろはもう、俺の腕を掴んで泣いていた。