僕はキミの心臓になりたい
2時間目が終わった休み時間。
机の中から、3時間目の教科に使う物を
取り出していた時だった。
「よっ」
大きな影が前から現れて顔を上げると、タカさんだった。
私に話しかけてくる人なんて珍しいから
びっくりしていた。
「元気ねーな。体調悪いのか?」
「そんなことないよ!」
無理に笑い、明るく言った。
「ならいーけどよ!それよか相楽って
瑞稀と付き合ってんの?」
またこの質問……
だけど、嫌な気にはならなかった。
彼の曇り一つなく、晴れ晴れとした表情で
聞いてくる感じが、今までの人たちとは
違い、清々しく感じられた。
憎めない人っていうのは
こういう人のことをいうんだなと気づく。
「付き合ってないよ!本当に」
「えっそうなの?でもクラスの奴ら、みんな言ってるぜ」
「ただ、彼の親切心から一緒に登校してるだけ」