僕はキミの心臓になりたい



仕方なく、制服のまま体育館へ向かった。



体育館ではすでにみんな集合していて

女性の体育教師が前に立っていた。



「相楽さん、遅刻よ!それと、体育着はどうしたの?」


「すみません、家に忘れました……」


「ダメよ、見学者もちゃんと持ってこないと!

なら仕方ないから、今日はそのまま準備とかお願いね」



「はい」



私は俯きながら体育館の隅へと移動したが

移動している間、クラスメイトの視線を

ずっと浴びていた。



今日の体育はバレーボールなので

みんなでコートにネットをはっていた。



すると、


「ねーねー、何で1人だけ制服着てるの〜?おかしくなーい⁇」



明らかに私に向けて言っている

女子の声が聞こえて顔を上げると

あの3人組の女子たちが少し離れたところで

笑っていた。



「今は体育の時間なんですけど〜

まじめに授業受けてくださーい!」



耳を塞ぎたくなる。



私はひたすら無視を続けて

もくもくと準備だけに集中した。



それなのに、意識すればするほど

聞こえてくる悪口と笑い声。



ほかにも聞こえてる人がいるはずなのに

みんな見て見ぬ振りをしていて

誰も助けてくれなかった。



まるで、誰もいないドン底の世界へ

突き落とされたみたいだ。



今まで友達と呼べる人はいなかったけど

自分の悪口を言われたことはなかった。



人から笑われたり、悪口を言われるのって

こんなに辛いんだ……



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