僕はキミの心臓になりたい
翌日の朝。
羽賀くんが来る前に、私は急いで準備していた。
本当は学校なんか行きたくない。
けど、入院のせいで
学校休むことが多いから
行ける時に行かないと
単位がもらえなくなってしまう。
憂鬱になりながらも
私は通学カバンを肩にさげて、玄関へ向かった。
いつもより早く家を出て行こうとする私に
母は声をかけた。
「あら、早いじゃない。今日はあの男の子、迎えに来てくれないの?」
「そんな、毎日来ないよ。そんなことさせたら悪いし」
「確かにそうよね。気をつけるのよ」
母に見送られながら玄関を出て
学校へ向けて歩き出した。
こんな虚しい気持ちになるの
初めて入院した時以来かもしれない。
学校に向かって歩いている生徒たちは
おしゃべりしながら楽しそうに先を歩いている。
みんなのその背中は私からあまりにも遠い。
自分だけどこか暗い世界に取り残されている……
そんな気分になっていた。