僕はキミの心臓になりたい
朝から不快な事の連続だった。
学校に着くと、上履きがなくなっていた。
上履きの表面には大きく名前が
書いてあるので、誰かが間違えて
履いていったことはない。
昨日の体育着のこともあったので
また隠されたとしか考えられなかった。
仕方なく、職員室で来客用のスリッパを
借りて教室に行くと、一瞬静まった空気は
再び騒がしくなった。
自分の席でカバンから
教材を机の中へ移していると
羽賀くんが前方のドアから入ってきた。
すぐにクラスメイト数人に囲まれたが
羽賀くんはそれらを押しのけて
こちらに向かってきた。
「美羽〜何で朝黙って先行ったんだよ?」
羽賀くんの声を聞いたクラスメイト達の
ざわめきが、一層上回った。
あの3人組の女子達から
睨まれてるのもわかった。
「ごめん、大事な用があったから。
あと、もう1人で行けるから
迎えに来なくても大丈夫だよ」
「え?何……」
「もういいから」
冷たい言い方をしてしまったのは
クラスメイト達にこれ以上誤解されたくないから。