僕はキミの心臓になりたい
このショートボブの人
確か名前は内川さんだったかな。
体育の授業中に、体育着に書いてあった
名前を見た気がする。
私が彼女の質問に答えないでいると
彼女はますます声を荒げた。
「羽賀の何なのって聞いてんのよ‼︎」
「…何でもないけど」
「じゃあ何で自転車で2ケツしたり、一緒に登校してるのよ?」
「だからそれは……彼の親切心で」
「どうせあんたが羽賀に言い寄ったんでしょ!」
内川さんは、私の声を聞かずに
被せてきて声を上げた。
「何で羽賀はあんたなんかに!
羽賀はああ見えても
女子とあまり話さない人だから
私もただ眺めるだけで留めてたのに……
何であんたとは一緒にいるのよ‼︎」
……そっか。
内川さんは、羽賀くんのことが好きなんだ。
周りの2人は、内川さんの取り巻きで
同じく羽賀くんの親衛隊みたいなところか。
彼女たちに誤解を解いてあげたいのだけど
もう私が何を言っても利かないほど
彼女たち……特に内川さんは
盲目的になっている。