僕はキミの心臓になりたい
やっぱり苦手分野なのかな?
さっきから羽賀くん
ホラー映画のポスターさえ
見れないようで顔を背けてるし。
「やっぱり…やめとく?」
試しに聞いてみると、羽賀くんは力強く首を横に振った。
「大丈夫大丈夫!
せっかく美羽の好きな映画だもんな。
よしっ行こう!」
羽賀くんは私の腕を引っ張り
さっさと映画館の中へ入っていった。
本当に大丈夫なのかな?
真っ暗の館内の中。
不気味な音とお客さんの悲鳴が響き渡る。
ホラーが好きな私は真剣に
画面に見入ってたのだが
羽賀くんはというと…
「怖えー!やっぱ無理だ〜」
椅子の上で丸くなり、耳を塞いでいて
全く画面を観ていない。
やっぱりホラーダメだったか。
悪いことしちゃったな。
開始から1時間後、
映画もクライマックスに入り
一番盛り上がるシーンに入った。
髪の長い女の霊が
主人公を追い詰めていくというシーンだ。
私は手に汗握りながら興奮状態で観ていたが、
その頃の羽賀くんは声も発せないほど力尽きていた。