僕はキミの心臓になりたい



やっと映画が終わり館内から出ると

羽賀くんの顔はすっかり

青ざめてしまっていた。



「いやーすげー怖かったけど楽しかったなぁ!」



青い顔で笑ってる姿がまた不気味だ。



「最初から一切画面観てなかったでしょ」


「あれ、バレた?」


「なんかごめんね。

二人が楽しめるようなほかの映画にすればよかったね」



あの怖がってる姿を見たら

さすがに申し訳なくなった。



「謝るなよ!

美羽のやりたいことをするために

今日は会ったんだし。

だから、今日は好きなだけ

俺を振り回せばいいよ」



羽賀くんてすごいな……


どうして人のためにそんな動けるんだろう?



自分が楽しめるかわからないのに

ポジティブに自分も楽しめるように

してる姿に感心していた。



「なんかさっきの映画で疲れて、腹減ったな」


羽賀くんがポツリと呟いた。



「あ、じゃあ何か食べに行こう。何食べたい?」


「美羽の好きなとこ連れてって」



そう言われてしばらく考えてから、私は彼に言った。


「じゃあ、ラーメンでいい?行ってみたいところがあって」



私の提案はもちろん異論なしで決まり

映画館からすぐ近くにある

ラーメン屋に歩いて行った。




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